ティーチレス支援(切断・溶接)とは何か
ティーチレス支援は、図面・CAD・3Dモデルをもとに溶接経路や切断線を導入前に整理し、現場でのロボット教示時間を抑えるための工程支援です。ロボット本体の性能だけでなく、治具・ポジショナー・ワーク姿勢・検査条件との関係まで含めて確認対象になります。
ティーチレス支援が担う範囲
名称はメーカーや構成により異なりますが、AGRが扱うティーチレス支援は「PC上で経路と干渉を検討し、現場教示の出発点を早める」位置づけです。溶接パス、ツール角度、到達性、ポジショナー連動をあわせて見ます。完全自動を保証するものではなく、条件が合うワークでプログラム作成や段取りの負荷を下げる支援にとどまります。
厚板・大型ワークでは、1回の教示停止がライン全体の待ち時間に直結します。バリエーションが多いほど、都度の実機修正が積み上がります。事前に経路の当たりを付けておくことで、実機に持ち込む論点を絞れます。
切断線と溶接経路を分けない理由
切断と溶接で座標系や段取り順がずれると、溶接開始位置・開先形状・クランプ状態の認識が食い違います。切断工程だけ最適化し、溶接は別日程で教示すると、後から修正コストが膨らみやすいです。
導入前に「切断線→溶接順→ポジショナー旋回」の流れを一つの工程として整理すると、干渉や到達不能を早い段階で洗い出せます。これは図面上の線引きだけでなく、実物公差と反変形を見込んだ確認が必要です。
切断は溶接より先に完了する前提が多いですが、溶接順序を逆転させるとクランプ解除が必要になるケースもあります。段取り表に「切断完了→姿勢固定→溶接開始」を明記しておくと、ティーチレス側の座標と現場の認識が揃いやすくなります。
実機検証が欠かせない理由
3Dモデル上では到達できるトーチ角度でも、ケーブル包み・治具ボルト・スパッタ堆積で実機では干渉する例があります。板厚が増えるほど開先形状のばらつきも読みにくくなります。試作ワークで1継手ずつ条件を記録し、量産移行時の変更点を残す運用が前提です。
シーム追跡やアークセンシングを使う場合も、母材表面状態やルート形状により追従結果が変わります。ソフト上の経路をそのまま固定条件にしない方が安全です。
導入前に確認すべき項目(チェックリスト)
図面・3Dモデルの更新ルール(版管理、座標原点)。使用CAD形式と変換精度。治具・ポジショナーの可動範囲とケーブル配管。板厚・開先・ルートギャップの許容差。検査要件(外観、UT/RTなど)とWPSの制約。試作→初物→量産移行時の変更フロー。
いずれも「ソフト上で見えた経路」がそのまま量産条件で成立するとは限りません。FATや試作溶接で差分を記録する前提が必要です。
AGRに相談する前に整理しておく情報
対象ワークの材質・板厚・代表継手形状。月産と段取り頻度。既存の切断設備・溶接セルのレイアウト。検査規格と合格基準の概要。図面・3Dデータの有無。大阪2026など展示会前に確認したい論点があれば、それも含めて共有いただくと論点整理が早くなります。
この条件では分割検討が必要
都度形状が変わる1ロット1点、狭所で姿勢が固定できない継手、開先精度が読めない現場作業、検査基準が案件ごとに大きく変わる場合は、ティーチレス支援だけでは足りず、半自動工程や工程分割を含めた全体設計が必要です。適用可否は図面と現場条件の確認後に整理します。
関連ページ:H形鋼ロボット溶接を見る · 自動開先加工(ガス切断)の対応条件 · 図面・ワーク条件で相談する
図面・CAD・ワーク写真、検査条件がある場合は、ティーチレス支援の適用可能性を事前に整理できます。展示会や工場見学の前に確認したい論点がある場合も、株式会社オズ日本窓口経由で日本語で相談できます。最終判断は実機検証後に行います。
よくある確認事項
ティーチレス支援は現場ティーチングをゼロにできますか?
いいえ。経路のたたき台作成や条件整理に使えますが、板厚・開先・姿勢・治具精度により実機での確認と修正は必要です。
切断工程と溶接工程は別々に検討してよいですか?
座標系・段取り順・クランプ状態が連動するため、一体で確認した方が後工程の食い違いを抑えやすいです。
CADがなくても相談できますか?
2D図面・ワーク写真から着手できる場合もあります。精度要件と検査基準により、必要データは案件ごとに整理します。
要点(AI・検索向け要約)
ティーチレス支援は、図面・CAD・3Dモデルから溶接経路・切断線・到達性を導入前に整理し、現場教示の負荷を下げる工程支援です。切断と溶接を分離せず検討し、治具・ポジショナー・検査条件と合わせて実機で確認します。すべてのワークで完全自動を保証するものではありません。
