多品種対応溶接自動化

一品物、多品種、仕様や形状が異なるワークのロボット溶接を、認識・計画・実行を一つのシステムとして組み立てます。品種が変わるたびに軌跡を教え直す前提から、実ワークを捉え直す前提へ移します。

ロボット溶接自動化 代表適用:H形鋼 顧客向け導入実績あり
H形鋼とリブの溶接候補線を認識・表示するティーチレス溶接システム

なぜ多品種生産ではティーチングが負担になるのか

従来のロボット溶接では、作業者が教示ペンダントを使い、開始点・終了点・折り返し点を点ごとに教えます。トーチ姿勢、干渉回避、ポジショナー連動まで含めてプログラムを作り込みます。ワークが変わると、その作り込みをやり直すことになります。

ロボットは記憶した経路をたどります。多品種少量、一品物、頻繁な切替、実ワークの位置・形状の変化があるほど、固定軌跡の前提は崩れやすくなります。ティーチングそのものが、立上げのボトルネックになりがちです。

従来のティーチング

点ごとの教示と作り込み

教示ペンダントで軌跡を記憶し、固定位置を前提に運転します。品種切替と形状変化のたびに、ティーチング担当へ戻ります。

視覚による自動化

認識から経路を組み立てる

3Dセンシングで実ワークを捉え、溶接候補を認識し、作業者が選択した対象・順序・条件にもとづいて経路を生成します。溶接前はトーチ側の近接センサーで起点・終点を精密に位置決めし、必要な溶接線ではアークトラッキングで溶接中のずれを補正します。

従来のティーチングと、多品種対応溶接自動化

違いは、準備の仕方と、ばらつきへの向き合い方にあります。

比較軸
従来のティーチング
多品種対応溶接自動化
プログラミング方法
教示ペンダントで点を打ち、軌跡を作り込む。
認識結果と設定内容から、経路を生成する。
ワーク変更時の対応
品種ごとにプログラムと経路の見直しが必要。
実ワークを捉え直し、溶接対象を確認して進める。
位置・形状変化への対応
固定位置・固定形状の前提が強い。
ばらつきを前提に、センシングと補正を組み合わせる。
作業者への依存
熟練のティーチング担当が中心。
溶接対象と条件の確認が中心。
補正・追従
記憶した経路の追従が基本。
溶接前は起点・終点を精密に位置決めし、必要な溶接線ではアークトラッキングで溶接中のずれを補正する。
適した生産形態
同一ワークの繰り返し生産。
多品種少量、一品、多品種ワーク。
治具・位置決めへの考え方
固定位置を治具で強く前提にする。
支持・安全は必要。実位置はセンシングで捉え直す。
プログラム管理
品種数に比例してプログラムが増える。
実ワーク認識とタスク設定を中心に運用する。

どのようにワークを認識し、経路を生成するのか

スキャン・解析、溶接対象と条件の設定、経路生成とシミュレーション、精密位置決め、自動溶接の流れを、現場の工程順に5段階で整理しています。

  1. 01

    認識

    ワークをスキャンし、点群を処理して位置・姿勢・形状を把握します。

  2. 02

    溶接対象・条件設定

    候補溶接線から作業者が対象を選択し、溶接条件と必要な溶接順序を設定します。

  3. 03

    経路生成・シミュレーション

    設定内容にもとづいて中間軌跡をソフトウェアが計算し、ロボットプログラムと動作軌跡を生成。PC上で干渉を確認します。

  4. 04

    精密位置決め

    トーチ側の近接センサーで溶接線の起点・終点を確認し、実ワークのずれを補正します。

  5. 05

    溶接・必要時補正

    設定条件で自動溶接し、必要な溶接線ではアークトラッキングで溶接中の偏差を補正します。

ロボットの逐点ティーチングへの依存を減らし、ワーク変更時の立上げ負担を抑えます。H形鋼では、スキャン後に作業者が溶接対象を選択・確認し、溶接条件と順序を設定してから、溶接プログラムと経路を生成します。

認識・計画・実行を一つのシステムに

AGRが提供するのは、カメラやソフトウェア単体ではありません。視覚、計画、ロボット、溶接、制御を一体にしたシステムです。案件に応じてユニットを組み合わせます。

計画

溶接経路の自動生成

認識結果と作業者が設定した溶接対象・条件・順序から、溶接タスクと経路の計画を組み立てます。

広域認識

3Dビジョンによるワーク全体の位置・姿勢認識

ワーク全体の位置・姿勢・形状を広く捉えます。

局所位置決め

溶接線の起点・終点を精密に位置決め

トーチ側の近接センサーで溶接線の起点・終点を確認し、生成済みの軌跡に対する位置補正に使います。

実行

ロボットシステム

計画された経路を実行するロボットと、必要な周辺軸です。

溶接

溶接システムユニット

溶接電源、トーチ、ワイヤ送給など、溶接実行側の構成です。

統合

認識・経路生成・溶接動作の統合制御

認識・計画・実行を一つの制御としてつなぎます。

どのようなワークに適用されているのか

建築鉄構、橋梁・鉄骨、船舶小組立、深溝隔壁、環境装置、フランジ、円形ワーク、長尺部材、圧力容器、鉄道部品などへの適用例があります。適用可否は、ワーク条件の確認が前提です。

  • H形鋼
  • 建築鉄構
  • 橋梁・鉄骨
  • 長尺部材
  • 船舶小組立
  • 深溝隔壁
  • 円形ワーク
  • フランジ
  • 圧力容器
  • 鉄道部品
  • 環境装置

A. 構造部材

H形鋼・建築鉄構・橋梁・鉄骨・長尺部材

  • H形鋼
  • 建築鉄構
  • 橋梁・鉄骨
  • 長尺部材

リブ位置、部材長さ、継手箇所がワークごとに変わります。従来のティーチングでは、点の打ち直しとプログラム管理が積み上がります。

実ワークをスキャンして部材とリブを認識し、候補溶接線を抽出します。H形鋼では、作業者が対象を選んだうえで経路を生成します。長尺や鉄骨でも、固定軌跡ではなく実形状を起点にします。

B. 複雑形状・空間溶接

船舶小組立・深溝隔壁・円形ワーク・フランジ・圧力容器

  • 船舶小組立
  • 深溝隔壁
  • 円形ワーク
  • フランジ
  • 圧力容器

空間内の継手、円弧、ノズルまわりなど、点教示では経路とトーチ姿勢の作り込みが長くなりやすい形状です。

モデル+ビジョンや適応制御を使い、実位置のずれを見ながら経路を組み立てます。圧力容器は純然たるティーチレスとしては扱いません。船舶小組立は船体全体の造船特化ではなく、小組立工程での適用例です。

C. 多品種・頻繁な切替

鉄道部品・環境装置など、切替が多いワーク

  • 鉄道部品
  • 環境装置

品種が多く、同じ治具・同じプログラムを長く使い続けにくい生産です。従来は切替のたびにティーチングへ戻ります。

実ワーク認識とタスク設定を中心に立上げます。鉄道部品は協力プロジェクトでの適用例です。環境装置にも適用できます。

すべてをティーチレスとは呼びません。

この自動化を実現する経路は、一つではありません。ティーチレスは技術クラスのひとつです。案件によって使い分けます。

A

ティーチレス / 無モデル型

実ワークのセンシングを起点に、ワークごとの手ティーチングへの依存を減らします。CADが常に不要だと限りません。H形鋼のような多品種ワークで先行しています。

B

モデル+ビジョン型

既存のモデルやワーク定義があり、視覚で実位置・偏差を補正します。複雑形状でモデル情報が有用な案件に向きます。

C

適応制御型

3D計測と溶接実行のなかで、実状態に応じて位置・トーチ姿勢・溶接条件を補正します。圧力容器の管台溶接は、純然たるティーチレスではなく、適応制御/モデル+ビジョンの適用です。

技術・検証で、認識・経路生成を詳しく見る →

AGRがシステムとして設計する

AGRはソフトウェアだけを渡す立場ではありません。適用定義から立上げまで、溶接自動化システムとして設計します。

  • 適用定義とシステムエンジニアリング
  • ロボット、溶接機器、視覚
  • 外部軸、治具、安全、制御
  • 溶接プロセスの統合と立上げ

どのような生産に向いているか

従来のティーチングセルは古くなったわけではありません。単一品種・大ロットで、形状が安定し、プログラムをほとんど変えない生産では、ロボット溶接セルのほうが単純で合理的です。

向いている生産

多品種・一品・切替が多い現場

多品種少量、一品物、頻繁なワーク切替、実ワークのばらつき、非標準の構造部材。従来の逐点ティーチング負担が大きいときに検討します。

セルのほうが合理的なとき

決まった部品の繰り返し生産

対象が決まった部品群で、治具とポジショナーを前提に同じプログラムを回すなら、従来セルを先に検討します。ティーチレスがすべての溶接に優れるわけではありません。

8ステップのワークフロー

H形鋼では、スキャン後に作業者が溶接対象を選択・確認し、溶接条件と順序を設定してから、溶接プログラムと経路を生成します。生成後はPC上のシミュレーションで干渉を確認してから実行します。

01

ワークを配置・準備

H形鋼を治具・支持条件に合わせて配置・準備します。

02

実ワークを3Dスキャン、または3Dモデルを利用

配置されたワークを3Dスキャンで読み取るか、既存の3Dモデルを利用します。

03

点群を処理し、ワークを認識・モデル化

点群データを処理し、H形鋼本体とリブの位置・枚数・状態を認識・モデル化します。

04

候補溶接線を抽出・表示

認識結果から、候補となる溶接線を自動で抽出し、画面に表示します。

05
作業者

溶接する箇所を選択・確認

必要な溶接線を選択・確認します。不要な溶接線は作業者が除外できます。

06
作業者

溶接条件・溶接順序を設定

溶接条件や、必要な溶接順序を設定します。

07

ロボットプログラムと動作軌跡を自動生成

設定内容にもとづき、起点・終点間の中間軌跡をソフトウェアが計算し、ロボットプログラムと動作軌跡を自動で生成します。

08

シミュレーションで干渉を確認し、精密位置決め後に起動

生成した動作をPC上でシミュレーションし、干渉の有無を確認します。起動前にトーチ側の近接センサーで溶接線の起点・終点を精密に位置決めし、自動溶接を開始します。必要な溶接線では、溶接中の偏差をアークトラッキングで補正します。短い溶接線など、アークトラッキングを使用しない場合もあります。

H形鋼ティーチレス溶接の一連動作

実機の構成と動作を確認できます。動画はクリック後に読み込み・再生します(自動再生なし)。

動画はクリック後に読み込み・再生します(自動再生なし)。

ワーク配置、3Dスキャン、H形鋼とリブの認識、候補溶接線の表示、不要箇所の除外、軌跡生成、内容確認、溶接実行までの一連動作を確認できる動画です。不要な溶接線のみ作業者が除外します。

一度設定した同一ワークは、設定内容を再利用して運転できます。

一度、溶接対象や溶接条件の設定を完了した同一ワークでは、既存の設定を再利用できます。ワークの配置が許容範囲内であれば、初回と同じ設定工程をすべて繰り返すことなく運転を開始できます。適用できる位置ずれや条件は、ワーク・設備構成によって確認します。

システムが担うこと

実ワークの認識、候補溶接線の抽出、ロボットプログラムと動作軌跡の自動生成、起点・終点の精密位置決め、必要時のアークトラッキング

作業者が担うこと

必要な溶接線の選択・確認、溶接条件・必要な溶接順序の設定、シミュレーションでの干渉確認、実行前の内容確認

3Dモデルは必須ではありません

H形鋼ロボット溶接は、既存の3Dモデルを利用する方法と、実ワークを3Dスキャンしてモデルを生成する方法の両方に対応します。3Dモデルがある場合も、作業者による溶接対象や溶接条件の設定・確認は必要です。他の技術クラスでは、モデル情報が有用な場合があります。

よくあるご質問

ティーチレスは、実ワークの認識と経路生成によって、従来の逐点ティーチングへの依存を減らす技術・方法です。独立した製品カテゴリではありません。AGRの多品種対応溶接自動化では、ティーチレス/無モデル型のほか、モデル+ビジョン型、適応制御型も案件に応じて使います。

従来は教示ペンダントで開始点・終了点・折り返し点、トーチ姿勢、回避、ポジショナー連動を点ごとに教えます。ワークが変わるとプログラムの作り直しが発生しやすいです。多品種対応では、3Dセンシング、ワーク認識、溶接候補の抽出、経路計画、位置補正を組み合わせます。適用できる範囲はワーク条件によります。

多品種少量や一品物では、ワーク変更のたびにティーチング工数が積み上がります。実ワークを捉え直して経路を組み立てる前提にすると、ロボットの逐点ティーチングへの依存を減らし、ワーク変更時の立上げ負担を抑えやすくなります。同一ワークの大量繰り返しなら、従来のティーチングセルのほうが合理的な場合があります。

できます。H形鋼ロボット溶接は代表的な適用例です。建築鉄構、橋梁・鉄骨、船舶小組立、深溝隔壁、環境装置、フランジ、円形ワーク、長尺部材などにも適用できます。鉄道部品と圧力容器は、協力プロジェクトでの適用例があります。適用可否はワーク条件の確認が前提です。

必須ではありません。ティーチレス/無モデル型は実ワークのセンシングを起点にし、ワークごとの手ティーチングへの依存を減らします。一方、複雑形状などでモデル情報が有用な場合は、モデル+ビジョン型を使います。CADが常に不要だと限りません。H形鋼では、既存3Dモデルの利用と実ワークの3Dスキャンの両方に対応します。

しません。H形鋼では、スキャンと認識のあと候補溶接線を表示し、作業者が対象を選択・確認し、溶接条件と必要な溶接順序を設定します。その内容にもとづいてシステムがロボットプログラムと動作軌跡を生成し、シミュレーションで干渉を確認してから起動します。他の技術クラスでも、案件ごとに確認手順は異なります。

ロボット溶接セルは、決まった部品群を治具・ポジショナー・センシングと一体で構成する設備です。多品種対応溶接自動化は、ワーク形状や品種が変わっても、認識と経路生成によって溶接対象を捉え直すことが主目的です。H形鋼ロボット溶接は、その代表適用です。

あります。対象が決まった部品群で、形状が安定し、プログラムを頻繁に変えない繰り返し生産なら、ロボット溶接セルのほうが単純で合理的です。ティーチレスがすべての溶接に優れるわけではありません。

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H形鋼に限らず、形状が変わるワークの写真・図面があると確認が進みます。日本窓口は株式会社オズです。

導入後も日本語でサポート: 中国・日本のエンジニアが連携し、導入後の立上げ、操作・設定、トラブル、保守に関する技術相談に対応します。日本語サポート担当:三浦 | service@agrrobotics.com

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